Google Cloudは10月27日、ロボット向けAIモデル「Gemini Robotics ER 2(Embodied Reasoning 2)」を、Google CloudのModel Garden経由で公開プレビュー提供開始したと発表した。ER 2は7月にGoogle DeepMindが発表したロボット向け基盤モデル「Gemini Robotics 2」の“頭脳”役を担うモデルで、映像からの空間的・時間的な状況理解、複数ステップのタスク計画、安全上のガードレールを組み込んでいるとされる。開発者はVLA(Vision-Language-Action)モデルやナビゲーションAPI、独自の関数を「ツール」として宣言でき、映像・音声・テキストをモデルにストリーミング入力できるという。
Google Cloudの発表によると、ER 2は液量計や温度計、デジタル表示など10種類以上の計器を読み取れるとし、重要な出来事(例えば液体の注入を止めるタイミング)が映像のどのフレームで発生したかを特定する精度は91.3%、平均フレーム誤差は0.96秒としている。また、同社が比較対象とする「多くの大規模モデル」と比べて実行速度は4倍、計算コストは「その一部」に収まるとも述べている。ただし発表文は、これらの数値算出に使ったベンチマークの内容や比較対象モデルの名称、テスト条件を明らかにしていないため、第三者による独立検証はできていない。
プラットフォーム面では、シミュレーションにMuJoCo-WarpとNVIDIA Isaac Sim、訓練データの収集・学習にCloud Storage・BigQuery・GKE・Cluster Directorを連携できるとし、エッジでの実行にはGoogle Distributed Cloudを使う想定だという。固定アームから人型ロボットまで幅広い形態に対応するとしており、顧客事例としてBoston Dynamics(「Spot」による点検作業)、DeepReach、Arm、ASTAR IMREの名前が紹介されている。これらは各社のコメントとして紹介されたものであり、具体的な導入規模や効果を示す数値は発表文中に記載されていない。価格についても発表本文には記載がなく、別途の価格ページを参照する形になっている。
AIGNALとしては、今回の発表はモデル自体の新規性というより「公開プレビューとしての利用可能化」である点に注目したい。7月のER 2発表時点では技術デモ中心の紹介だったのに対し、今回はBigQueryやGKEなど既存のGoogle Cloudサービスとの連携経路が明示されており、ロボットの運用データを自社のデータ基盤に取り込みやすくなる点が実務上の変化といえる。一方で、提示された精度・速度の数値はいずれも比較条件が非公開の自社発表であり、実際の導入検討にあたっては自社のロボットや業務内容での実機検証が欠かせない点には注意したい。



