OpenAIは10月6日、まだ公開していない内部モデルが生成した数学の論文722本を、GitHub上のリポジトリ「openai/math」でまとめて公開した。17の数学分野にわたる372件の「結果群」として整理されており、一部の結果にはLean言語による形式的な証明が付随しているという。OpenAI自身もリポジトリ内で、全ての結果にLean形式化が伴っているわけではなく、形式化されていない結果の一部には誤りが含まれる可能性があると注記している。
これに対し、数学者Terence Tao氏が代表を務める団体「Association for Human Mathematics(AHM)」は10月7日、Tao氏のブログへの寄稿という形で声明を発表した。声明は今回の大量公開を学術的な営みではなく「力の誇示」だと批判し、数学者らに対しOpenAIとの関わりを断つよう呼びかけている。Tao氏自身は、論文の中には着眼点として興味深いものが含まれる可能性を認めつつも、議論できる相手がいない状況に強い苛立ちを感じているとも述べているという。
AHMの声明は、OpenAIが著作権侵害や商標希釈などを巡って複数の訴訟を抱えている現状にも言及しており、これらの訴訟リスクも数学者が同社と距離を置くべき理由の一つとして挙げている。今回の件に先立ち、Tao氏やPeter Scholze氏を含むフィールズ賞受賞者25人が、AI業界の目標と数学研究の文化との間にずれがあると警告する共同声明をすでに発表していた背景もある。



