Microsoft Researchは、単一の組織として最大1024体のAIコーディングエージェントを同時に稼働させられる新基盤「Agensh」を発表した。従来のマルチエージェントシステムでは、タスクの割り振りやレビューを担う中央の「オーケストレーター」の処理能力が協調作業の規模を制約するボトルネックになっていたが、Agenshはこの中央司令塔を置かない設計を採る。
Agenshでは、各エージェント(ワーカー)同士が共有のGitワークスペース、Mattermostベースのメッセージバス、型付けされた共有コンテキストボードを介して状態や進捗を伝え合うことで、中央管理なしに自己組織的にタスクを分担する。あたかも人間のエンジニアチームが分散的に連携するような形で、協調作業を成立させているという。
ベンチマークでは、文書変換ツール「pandoc」を題材にしたテストで、エージェント数を1体から1024体に増やすとテスト通過率が33.89%から55.06%まで向上した。研究チームによれば、これは同一のプロンプトを与えられたワーカーの中から、統合役やレビュー役といった役割がスケールに応じて自然発生的に分化していくことが要因だという。
MicrosoftはAgenshのコードをGitHub上で公開しており、既存の単一エージェント向けコーディング基盤にアダプター経由で組み込める設計になっている。中央集権的な制御を前提としないエージェント群のスケーリング手法として、他のエージェントプラットフォームへの応用にも注目が集まりそうだ。



