ロイターの独自取材によると、Microsoftは過去5年間で中国国内の支店・合弁事業を少なくとも15件閉鎖しており、社内関係者5人が「退却」と呼ぶ戦略を進めているといいます。2023年には地政学リスクの高さと経済的リターンの小ささを理由に、中国市場からの完全撤退を検討したこともあったとされますが、現時点で完全撤退の計画はないとしています。中国事業が同社の世界売上高に占める割合は、2024年時点で約1.5%にとどまっています。
中国政府調達の面でも逆風が強まっており、ロイターが確認した2023年12月から2026年5月までに公表された中国政府のコンピューターシステム調達ガイド6件のうち、5件でMicrosoft製品が推奨リストに含まれていなかったといいます。合弁会社Wicresoftの中国事業終了・大規模人員削減など、個別の撤退事例も報じられています。
その一方で、MicrosoftはAzureを通じて中国企業向けに、中国では直接展開していないOpenAIなど欧米製AIモデルへの独占的なアクセスを提供し続けています。中国企業の海外進出を支援するこの事業は、同社にとって中国関連ビジネスの中では最大の収益源に成長したとされ、世界全体の規模からすればなお小さいものの、輸出規制などの制約下でも命脈を保つ数少ない足がかりとなっています。前中国法人トップのAlain Crozier氏は「地政学の影響で厳しい日もあるが、危機に陥ったことは一度もない」と述べています。
AI・クラウド需要の急拡大が、政治的に難しい市場環境の中でMicrosoftに残された数少ない成長機会になっている構図が浮き彫りになった格好です。



