非営利のAI研究機関Ai2(Allen Institute for AI)は10月2日、研究アシスタント「Asta」に組み込む新モデル「AstaBrief」をオープンソースで公開した。研究に関する質問と、検索で取得した文献の抜粋を受け取り、出典付きのレポートを1回の推論で直接書き上げるのが特徴で、Qwen3-8Bをベースに教師ありファインチューニング(SFT)と直接選好最適化(DPO)の2段階で学習させた。重みや学習データ、サンプルのワークフローはApache 2.0ライセンスでHugging Face上に公開されている。
従来、Astaの「Thinking mode」はClaudeベースの複数段階パイプラインを採用し、文献の要約・クラスタリングを経てセクションごとにレポートを書き上げていたため、1件あたり平均178.5秒を要していた。これに対しAstaBriefを使う新しい「Fast mode」は、この要約・クラスタリング工程を経ずに文献抜粋から直接レポート全体を生成することで、平均51.1秒、約3.5倍の高速化を実現したという。人間による評価でも好評度はThinking modeの85.2%に対しFast modeは84.2%とほぼ同水準で、速度向上による品質低下はごく小さいとAi2は説明している。
引用の精度についても、ベースとなったQwen3-8Bがそのまま出した回答(ScholarQA-CS2ベンチマークで引用精度76.2・再現率64.6)と比べ、AstaBriefは精度90.5・再現率78.2まで改善した。Ai2によれば、引用密度の低い合成学習データを除外する工程が品質向上に最も寄与し、約4万7000件のSFT例と6000件のDPOペアに絞り込んだことで、不安定になりやすい強化学習を使わずに済んだという。



