Anthropicは10月20日、Claude APIに「User Profiles(ユーザープロフィール)」機能を追加したと公式ドキュメントで明らかにしました。対象は、自社サービスの裏側でClaude APIを呼び出し、複数のエンドカスタマー(個々の利用者や契約先企業)にAI機能を提供しているプラットフォーム事業者です。Anthropicは全APIトラフィックに自動の安全性チェックを適用しており、これまでは一人のエンドカスタマーが不正利用の判定を受けると、そのプラットフォーム事業者の組織全体のAPIアクセスに制限がかかるおそれがありました。
公式ドキュメントによると、事業者は`POST /v1/user_profiles`でエンドカスタマーごとに1件のプロフィールを作成し、発行されたID(`uprof_`から始まる)を、以降のAPIリクエストのヘッダー`anthropic-user-profile-id`に付けて送信します。プロフィールには、自社の個々の利用者向けの`application`(既定値)と、API利用権を転売する先の企業単位で発行する`passthrough`の2種類があり、課金自体はプロフィールの有無やその種類の影響を受けません。Anthropicがあるプロフィールに制限(restriction)や利用停止(ban)などの安全対策を適用した場合、その状態は`enforcement_status`・`enforcement_actions`というフィールドでプロフィールごとに確認でき、対応はそのプロフィールを使うリクエストのみに及びます。
この機能はClaude APIおよびClaude Platform on AWS、Anthropicがホストする一部のMicrosoft Foundry展開で利用できます。一方、Amazon BedrockやGoogle Cloud(Google運用)経由でのClaude利用では、プロフィール自体はClaude APIなどで作成した上でリクエストに添付する形になり、これらの基盤はIDの形式チェックのみを行うため、存在しないIDでもリクエスト自体は通ってしまうと公式ドキュメントは注意しています。プロフィールが紐づけられていないリクエストで不正判定が発生した場合、影響は依然として組織全体に及びます。
この機能が直接恩恵をもたらすのは、一般消費者向けのチャットサービスではなく、Claude APIを土台にした自社プロダクトやAPIゲートウェイを運営する事業者だとAIGNALは見ます。これまでは、顧客の誰か一人が不正利用とみなされただけで事業全体のAPIアクセスが止まるリスクを抱えていましたが、プロフィール単位での切り分けにより、そのリスクを個別の顧客に限定できるようになります。ただし、既存の顧客基盤をまとめて登録する際はレート制限がかかるため事前にAnthropicのアカウントチームへ相談するよう案内されている点や、BedrockやGoogle Cloud(Google運用)側ではID検証が行われない点など、移行・運用には設計上の配慮が必要です。小規模なチームがAPIベースのプロダクトを提供している場合、将来の規模拡大を見据えて早期に導入を検討する価値があると考えられます。



