Financial Timesの報道によると、Google DeepMindはタンパク質の立体構造を高精度に予測するAIモデル「AlphaFold」を開発してきた専門チームを、この1年間かけて事実上解体していたことが明らかになりました。AlphaFoldは2020年代前半に生命科学分野へ大きな衝撃を与え、開発を主導したデミス・ハサビス氏とジョン・ジャンパー氏に2024年のノーベル化学賞をもたらした看板プロジェクトでしたが、原論文の主要著者のうち約4分の1が既に同社を離れているといいます。
DeepMindでリサーチ担当バイスプレジデントを務めるプシュミート・コーリ氏は、AlphaFoldを「解けたかどうかが明確に示せる、良い課題」と位置づけて9年間取り組んできたが、DeepMind自身の目から見てそれは既に達成されたとの認識を示し、「次のミッションは何か」を問う段階に移ったと説明しています。チームに残ったメンバーは酵素設計や核融合研究、ゲノミクス、Alphabet傘下の創薬子会社Isomorphic Labsなど、Gemini関連を含む他のプロジェクトへ再配置されました。
一方、AlphaFold2の開発を主導したジョン・ジャンパー氏は6月に同僚のヨナス・アドラー氏、アレクサンダー・プリツェル氏とともにAnthropicへの移籍を発表しており、AI安全性を掲げる同社が科学研究分野の人材獲得でも存在感を強めている格好です。Googleは今年に入りDeepMindのハサビスCEOの会長就任や、ジェフ・ディーン氏らの退社・新会社設立など経営体制の見直しを相次いで進めており、今回のAlphaFoldチーム解体も、単一の大型科学プロジェクトから汎用的なGemini・エージェント開発へ研究資源を集中させる、同社の戦略転換を象徴する動きといえます。



