米メディアThe Informationは9月上旬、AnthropicがAmazon・Google・Microsoft・SpaceX・Lambdaなど複数の企業との間で、過去11カ月間(2026年8月までの期間)に最大5170億ドル相当のコンピュート契約を積み上げていたと報じた。契約は合計で14.8ギガワット分の計算能力の確保に相当し、Data Center Dynamicsなど複数の専門メディアが同様の数字を確認している。
この5170億ドルという数字は、今すぐ支払いが発生する確定額ではなく、あくまで今後数年にわたる計算能力の調達枠(上限)である点には注意が必要だ。それでも、Anthropicが以前投資家に説明していたとされる「2029年までに約1800億ドル程度」という想定を大きく上回る規模であり、確保した計算能力も2025年半ば時点の1〜2ギガワット程度から10倍以上に拡大した計算になる。
Anthropicは6月に米SECへ非公開でIPO申請を行ったとされており、今回明らかになった巨額のコンピュート契約は、上場を見据えた事業規模の裏付けという側面もありそうだ。一方で、契約の一部はAnthropic自身がまだ公表していない可能性もあるとThe Informationは指摘している。
興味深いのは、この報道が明らかになったタイミングだ。AnthropicのCEOダリオ・アモデイ氏は週末に公開したエッセイで「AIの能力向上のペースを落とすべきだ」と訴え、OpenAIやGoogle DeepMindのトップも同調する動きを見せていた。安全性を理由に開発速度の抑制を呼びかける一方で、実際にはかつてない規模でインフラ投資を積み増している――という対照が、複数メディアで指摘されている。



