Anthropicの経済チーム(The Anthropic Institute)は9月上旬、AIが2030年までの米国経済に与える影響を試算できる無料の対話型ツール「Econ Scenario Explorer」のバージョン1.0を公開しました。利用者は「AIによるタスク自動化の速度」と「AIシステムの能力向上の度合い」という2つの変数を調整することで、2030年時点の米国のGDP、失業率、賃金、労働分配率がどう変化するかをシミュレートできます。
ツールの基盤となっているのは、Anton Korinek氏、Charles I. Jones氏、Szymon Sacher氏らが執筆した技術レポート「Economic Scenarios for Transformative AI」(The Anthropic Institute Working Paper No. 2026-02)です。同レポートは、2026年8月11日から23日にかけてMorning Consultを通じて米国の成人10,980人を対象に実施した調査などをもとに、AIがいつどの程度専門職の業務を代替・補助するようになるか、生産性がどれだけ向上するか、職を失った労働者が新しい仕事を見つけるまでにどれくらいかかるかを推計しています。
レポートは「緩やか」「顕著」「急進的」の3つのシナリオを提示しています。もっとも急進的なシナリオでは、AIがほとんどの知識労働タスクで人間より生産性が高くなり、それらのタスクの大部分を自律的にこなすようになると想定しており、2030年の知識労働者の失業率は約18%(他の労働者は4%未満)に達すると試算されています。中間の「顕著」シナリオでも、知識労働者の失業率は2026年半ばの2.9%から2030年には4.5%まで上昇するとされ、シナリオによって労働市場への影響の大きさが大きく異なる点が示されています。



